東京高等裁判所 昭和53年(ラ)1235号 決定
債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求訴訟の原告が訴えを提起するとともに訴訟上の救助の申立をした場合、受訴裁判所は、右訴訟における原告の主張を前提としてもその請求金額が著しく過大であって、その一部についてのみ民事訴訟法一一八条但書の要件の疎明があるに止まると認めるときは、この部分の請求のみに限定して訴訟上の救助の付与をすることができると解するを相当とする。けだしこのような場合、請求金額全額に対応して訴訟上の救助を付与すれば、いたずらに過大な請求を助長し濫訴と同様の弊を招くおそれがあり、逆に全く救助を付与しなければ、無資力者の出訴を妨げることとなるからであり、しかも右手数料に限って救助を付与するのであれば、救助の範囲を確定金額として特定することができ、また、救助を与えた部分と与えなかった部分の費用の按分につき計算上の困難が生ずるおそれもないからである。
本件についてこれをみるに、原審裁判所は、訴えの提起の手数料についてのみ抗告人が民事訴訟法一一八条本文の「訴訟費用ヲ支払フ資力ナキ」ことの疎明があるに止まるものと判断し、さらに本件訴訟が同条但書の要件を満たしているか否かを検討したうえ、請求額四〇〇〇万円のうち八〇〇万円の限度において右要件の疎明があるに止まるものと判断し、右八〇〇万円に対応する訴えの提起の手数料に限って訴訟上の救助を付与したものと解せられるところ、≪証拠≫によって一応認められるところの抗告人と相手方とが昭和三年に結婚式を挙げて以来の結婚生活の経緯からすれば、≪証拠≫によって一応認められる相手方の資産を勘案しても、いまだ請求額のうち八〇〇万円を超える部分については、右但書の要件の疎明がないということができる。
(杉本 三好 柴田)